あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
年末に、「笑うカンガルー」が再放送されていた。10年ぶりだろうか。とても懐かしかった。ただ、小さい頃から「刑事コロンボ」を見て育ったせいか、「古畑任三郎」は倒叙物としての粗が気になってしまう。45分というドラマ枠でまとめなければならない制約が、三谷さんを苦しめていたのだろう。「笑うカンガルー」はその制約から逃れ、初めて2時間枠で作られた。力作だったに違いない。
「笑うカンガルー」には数学ネタがたくさん出てくる。まずは冒頭部、いわゆるアバンタイトルでは、フランス式指電卓が披露される。
「ちょっと手を出してみてください。あ、いや、両手です。はい…。計算機が無くても掛け算が出来る便利な方法があるのをご存じですか。俗にいう『フランス式指電卓』です。ではやってみます。例えば『7×8=56』の場合。左は『7』を表します、御一緒に。いち、にい、さん、しい、ごお、ろく、しち。で、右は『8』を表します、御一緒に。いち、にい、さん、しい、ごお、ろく、しち、はち。ここまでよろしいですね。次は答えです、56。10の位は立ってる指を足します。2たす3で5ですね。で、1の位は折れてる指を掛けます。3かける2でさんにが6。ということで、5と6で56、『7×8=56』です。えー、九九を忘れた方はぜひやってみてください。では次に『8×9=72』にチャレンジ。よろしいですか…。いち、に…。これ大変時間がかかります。お好きな方は、自分でやってみてください」(
笑うカンガルーより)
数式で表せば xy=10{(x-5)+(y-5)}+(10-x)(10-y) となる。初めて聞いた人は驚くに違いない。私もたまに小ネタで話すのだが、やはり皆驚いてくれる。昨年の秋頃にも、ふとしたことから友人に話し、友人が取引相手に話し、その取引相手が翌日の朝礼で小ネタとして披露したそうだ。
また、数学での最高権威の賞として「アーバックル賞」が出てくるが、これは「フィールズ賞」がモデル。そして、350年に渡って数学界の謎とされた「ファルコンの定理」は、もちろん
「フェルマーの最終定理」がモデルだろう。
「フェルマーの最終定理」の証明は、「笑うカンガルー」が放送される前年にワイルズによって発表された。そして放送直前に予想が定理として確定し、放送直後に論文が発行された。この論文は予約段階で完売したと記憶している。そういえば、その前年のエイプリルフールに、「フェルマーの予想の反例が見つかった」という嘘ニュースが世界中を駆け巡ったこともあった。「フェルマーの最終定理」は世界中から愛されていたのだろう。三谷さんも好きだったらしく、その後の「古畑任三郎」でも時折登場した。
「数学界で長年の謎とされてきたファルコンの定理を解いた、アメリカの数学者コンビの名前をフルネームでお答えください」「アンドリュー・ペニントンとスタンディール・ロックフォード!」(
VSクイズ王より)
「今日は私の宝物をご紹介しましょう。(中略)えー、それから数式の書かれたメモ用紙。ファルコンの定理といってまだ誰も解いた人のいない大変難しい数式なんです」(
動機の鑑定より)
さて、「古畑任三郎」が遂に最終回を迎えるそうだ。まず、1月3日に石坂浩二と藤原竜也。これはどっちが犯人か分からないらしい。倒叙物としては亜流だが、東野圭吾の「どちらかが彼女を殺した」を模すのかな。そして、1月4日にイチロー、1月5日に松嶋菜々子でファイナル。ぜひ楽しみたい。
倒叙物では、最後に必ず犯人が「なぜ私だと気付いていた?」と問いかけてくる。これがお約束。「笑うカンガルー」では、この問いかけに対する回答が秀逸だった。「古畑任三郎ファイナル」ではどうだろうか。
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