オイラーの等式は、1を足すことで0に収まる。ここで、1の前に0について考えてみたい。
194頁〜197頁で0が取り上げられている。0を「空っぽ」と表現する家政婦に対し、博士は「0は存在する」と言い直した。そして、0の素晴らしさ、美しさを説明した。つまり、0というのは、矛盾なく美しいものが存在している状態なのだと。この説明がなければ、オイラーの定理に込められている0の意味が台無しになってしまう。
なお、今までルートを放任してきた家政婦がこの章で突然心配性になるのは、筆者が0を語りたかったからだろう。「0は存在する」という話にもっていくためには、家政婦が0を「空っぽ」と表現することで対比させなければならない。そのため、やや強引に、この章限定で心配性なお母さんにしたのだと思う。邪推かな。でも、そうでなければあまりに唐突な心配症に感じる。
『博士の愛した数式 8』へ続く
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博士の愛した数式 1(2005/11/14)
カテゴリ:博士の愛した数式