未亡人と博士と博士の兄もまた、オイラーの等式のような関係だったのではないだろうか。そして、博士は若い頃、その関係をオイラーの等式に喩えて話していたのだろう。だからこそ、未亡人はオイラーの公式に込められた意味をすぐに知ることができた。博士も、博士と家政婦とルートの3人の関係を、雰囲気だけで察することができた。それは、かつて経験したことのある雰囲気だったから。
ひょっとすると、博士が若い頃に喩えたオイラーの式は「e
iπ=-1」だったのかもしれない。しかしこれを「e
iπ+1=0」と変形したことで、未亡人は、博士の未亡人に対する変わらぬ思いを知ることができたのではないだろうか。いささか考えすぎかもしれないが。
『博士の愛した数式 10』へ続く
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博士の愛した数式 1(2005/11/14)
カテゴリ:博士の愛した数式